TSUTAYA online / 「チーム・バチスタ〜」井川遥インタビュー

チーム・バチスタ〜」井川遥インタビュー2008年01月31日 16時30分 更新

成功率60%と言われる“バチスタ手術”を次々と成功させ、26連勝という記録を伸ばしていたチーム・バチスタ。しかし突如、3例続けて術中死が起こってしまう。医療ミスか、それとも殺人なのか──。医療現場を舞台に心療内科医師・田口と厚生労働省・白鳥が内部調査を繰り広げる本作は、現役医師でもある作家・海堂尊のベストセラー小説「チーム・バチスタの栄光」の映画化だ。看護師・大友直美を演じた井川遥にこの作品の魅力を語ってもらった。

「原作を知らない方でもバチスタ手術とは何なのか、どれだけリスクのある手術なのかを分かりやすく描いています。最後まで犯人がわからないミステリーのなかにある、クスッと笑えるシュールさも面白い」と語るように、堅くなりがちな医療ものにコメディ要素を加えているのも魅力。その空気は現場でも流れていたそうで、「モニターを見ながら監督はいつも笑っていました」監督が笑顔だとそのテイクはOKがもらえたのだとか。

中村監督は演出をする際に、独特の表現でキャラクター性を伝えるという。
「撮影中にコソコソッと役者の側に行って、『鼻で芝居をして』とか、こちらが笑いたくなるような演出をしてくるんです。私が一番困ったのは、『目を開けたまま相手に訴えかけるように号泣』と言われたとき。『えっ、目を開けたまま?号泣?』どう演じたらいいのか悩みましたね。しかも『泣く前は号泣することを微塵も感じさせないように』と言うんです。脚本のト書きには嘘泣きと書かれているだけなので、竹内さんも玉山さんも私が大泣きするのは知らされていない。だから相手のリアクションが面白くて。玉山さんなんて一瞬、固まっていましたから(笑)」

田口の調査ノートには、大友看護師について“いきなり号泣、感情的で大袈裟、計算づくか?動物に例えるなら巻き貝”と記されているが、本人は大友をどういう女性、どういう看護師として捉えていたのだろうか。


「巻き貝ってよくわからないですよね(笑)。不可解で謎めいた行動をとるところから付けられたとは思うんですけど…。脚本を読んだときはコミカルな女性だと感じたんです。でも演じるにあたっては、面白おかしく演じてしまったら本当の看護師さんに失礼なのではと。実際にバチスタ手術に加わる看護師は、医師の先を読んで機械出しのできる、本当に優秀な方ばかりなんです」その後、監督と話し合いの末「大友は間の悪い人」という設定に。
「本来は優秀だけれど、緊張やハプニングの瞬間に本領が発揮できない不器用な人ということで落ち着きました。そうしないと、どうして大友のような看護師がバチスタチームに入ったんだ?っていうことになってしまうので」

内面的な役作りに加え、機械出しや専門用語の習得など医療知識を身につける苦労もあったと語る。
「機械出しは本当に難しくて…器具の数が多いのはもちろん、渡す向きや角度を先生ごとに把握しなくてはならないので、撮影当初は頭が真っ白に。先生役の俳優さんたちも大変。現場に鶏肉を持ってきて手術シーンの練習をしたり、(医師としての)動きを滑らかにするために常に何かしら練習をしていました。私は『すみませんっ』連発の失敗シーンしか使われていないんですけどね(苦笑)」

そんなバチスタチーム7名の共演は撮影前に行なわれた本物の手術見学に始まった。そこで大きなショックを受けたそう。
「医師の真横、少し手を伸ばせば心臓に触れられるほどの距離で見学させてもらったんです。麻酔で患者さんの意識がなくなり、メスで開胸され、心臓が見えてくる──バチスタ手術の一連を体験しました。手術の中盤にもなると心臓を目にすることに慣れてきて、生命を操ることのできる西洋医学に対して神秘を感じたり。驚いたのは止めていた心臓が再び動き出す瞬間。その時の先生方の集中力は本当に凄かったです」



また、撮影現場で多くの時間をともに過ごすことで、素晴らしいチームワークが自然と出来上がっていったという。明けても暮れても手術シーンだったバチスタチーム。現場はさぞかし緊張に包まれていたのかと思いきや意外にも会話が弾んでいたのだとか。
「誰も控え室に戻らなかったですね。スタジオの中にあるテーブルを囲んで、さっきの手術シーンはどうだったか…という話を常にしていました」ときには共演者の意外な面も垣間見られたと振り返る。
「一番印象的だったのは玉山さん。彼、雑学王なんですよ。なんでそんなこと知ってるの!?っていうほど何を聞いても答えられる(笑)。田口さんと田中さんはお子さんの話、佐野さんはご自身の書斎の話で盛り上がっていました。池内さんはシャイだけれど内に熱いものを持っている人。吉川さんは時間が空くと外でギターを弾いたり、お医者さんを捕まえては色々と質問攻めにしていました(笑)」

竹内結子阿部寛が演じる田口&白鳥コンビに加え、バチスタチームのメンバーそれぞれが個性あるキャラクターを演じている本作。犯人探しはもちろん、豪華キャストが織りなす人間描写もみどころなのである。

インタビュー:新谷里映

スタイリスト:長田久美
衣裳協力:ワンピース/DKNY(ダナ キャラン ジャパン)tel 03-5476-5340 ピアス、ネックレス/アガット tel 03-5412-1886
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